香りのパワー

週刊NY生活紙に毎月一回香りや精油についてコラムを書いています。2008年~2016年「真理子の香りの旅」、2017年~「香りのパワー」。2018年から古舘みどりさんの素敵な絵も入りました。


生命のエリクシル メリッサ 6/2/2018

mellissa_lemonbalm5 (1)初夏から夏にかけて一気に大きな茂みをつくるメリッサ。風になびく細い茎、うすい葉っぱ、日本のシソとよく似た容姿とリフレッシングな強い匂いをもっています。レモンバームとも呼ばれ、ピリッと爽やかなレモン様の香りが特徴です。メリッサ・オフィシナリスという植物学名は、この植物がその昔からオフィシャルに薬草として認められていたことを表しています。

香り:苦さ、甘さ、青くささがまじったレモニーなハーブの香り。生の葉っぱのシャープでみずみずしいフレッシュさは精油には欠けてしまいますが、レモン様のトップノートをもった精油の中ではコンプレックスで高貴さを感じさせてくれる香りです。

性質と効能:「生命の霊薬」と呼ばれているメリッサは、余計な力を抜き気を開放させる不思議な力があります。心と心臓を穏やかにする、スムースなぜん動運動を助ける、月経前緊張をやわらげる、頭痛の緩和など神経系をリラックスさせることで各器官の機能を整えるよう働きます。神経緩和・強壮、抗うつ、鎮痙、弛緩、消化促進作用。

使い方:メリッサの精油はローズのように大変高価です。おすすめは芳香蒸留水を利用することです。ミストボトルからそのまま振りかけたり、グラスに水を半分くらい入れ3〜4プッシュし香りを感じながら飲みます。精油をマッサージやボディオイルに使う場合大さじ1杯約15mlの植物油に1〜2滴混ぜます。

注意:精油を皮膚に使用する場合1〜2%以下に薄めること。


イランイランの花      5/5/2018

unnamed春は生命が息吹く季節。新芽、新緑、咲きほこる花々。昆虫たちは花々の発散させる香りや色形に引き寄せられ受粉を手伝います。甘くうっとりする花の香りは魅力的であると同時に、植物自身が生き抜くための強い生命力に満ちています。今回は「花の中の花」と呼ばれているイランイランをご紹介します。インドネシアやマダガスカル島などの熱帯地方に育つ樹高20mに達する高木の常緑樹です。年間を通して開花し、黄色く大きな細長い花が枝からしなやかに垂れるように咲きます。陶酔的な香りは香水の重要な原料です。

香り:甘美な心地良いフローラルな香り。しかし精油のボトルから嗅ぐ香りは強すぎて決して良い香りとは言えません。エキストラ、No1、コンプリートなど何段階にもグレードがあるため高品質の精油を選ぶことが大切です。適度な濃さに薄めることによりイランイランの良い香りは生まれます。

性質と効能:抗うつ、無気力、心配性、抑圧された感情、欲求不満から生じる怒りの緩和。生命力賦活、第2チャクラのバランス。

使い方:ボディオイルとして大さじ1杯(15ml)の植物油に3〜4滴。植物油で約30%に薄めた精油をティッシュや香水テスター紙につけて置いておく、香油として使う、数滴お風呂に入れる。


ローレル     4/7/2018

unnamed-2料理用のハーブ、”ベイリーフ”としてよく知られています。植物学名はローラスノビリス、Laurus(賞賛する)nobilis(名高い)という素晴らしい名前をもっています。常緑樹で光沢と芳香のあるしっかりとした葉をつけ、ローレルは栄光と達成、勇気と気高さのシンボルです。昔からこの葉で作った冠は優勝者や英雄、学者や卒業生の頭に飾られています。また病気や悪魔から身を守る木として幸運を願い家の入り口に植えたり、リースを戸口に掛けたりします。

香り:葉(小枝も含む)を蒸留して採られた精油はスッと鼻の奥に届くフレッシュ、スパイシー、カンファー様の力強い爽快感と、かすかにシナモンやクローブの様な甘いベースを合わせ持っています

性質と効能:ローレルの木はその昔、伝染病の感染を防ぐために重宝されました。抗菌、抗感染作用をはじめ、去痰、利尿、駆風作用があります。脳に浸透していくような独特の香りは、普段入れないどこか遠くの脳、遥か彼方の意識や思考の領域への香りです。革新的なアイデアや仕事にふさわしい香りでしょう。

使い方:ディフューザー、ティッシュなどに1〜2滴落として香りを嗅ぐ。ボディオイル、マッサージオイルとして大さじ1杯の植物油に5滴ほど混ぜる。バスオイルとして小さじ1杯の植物油に2〜3滴混ぜて使う。


スイートオレンジ    3/3/2018

まるで太陽を小さくしたようなまん丸でビビッドなオレンジ色の果実。見ているだけで明るさと元気が伝わってきます。皮をむいたとたんに飛び散るオレンジのアロマは生命力に満ちていて鼻を近づけて奥の奥まで吸い込みたくなります。甘くてジューシーな果肉は健康の喜びそのものです。先月久しぶりにインフルエンザにかかりエネルギーダウン。回復後は消耗した元気を取り戻そうとこのスイートオレンジをクレイブするように食べて、匂って、体に塗って元気を充電しました。

Scan 3 (1)香り:甘さと苦さとシトラスの香りが凝縮したスイートオレンジの香りは他のオレンジの仲間と比べてくせがなく、そのままでもまたブレンドにも使い易い香りです。オレンジの果皮を圧搾してとった精油は抽出プロセスにより濃い色からうすい色まで、すっきりした香りから少々皮のなまくささが残るもの、また生産地による違いも出てきます。

性質と効能:甘さと温かみのある香りは神経に栄養を与え気をゆるめ楽にすることで心身のストレスや体調不良によるエネルギーの低下、鈍い気の流れに活力を与えます。消化器系の神経をリラックスさせることにより消化の働きを助けます。毛細血管・リンパ管を刺激し体液の流れを促進します。

使い方:大さじ一杯の植物油に5〜8滴混ぜマッサージやボディオイルとして体に塗る。ティッシュなどに付け香りをかぐ、室内で蒸散させる、ティーポットで紅茶や好みのハーブティー1カップに対して1滴の精油を入れカップに注いて飲む。

注意:決して未希釈のままお風呂に入れたり、肌につけたりしないこと。肌を刺激します。柑橘類の精油は農薬のかかっていないオーガニックのものを使うこと。

 


ブラックペパー     2/3/2018

小さなシワシワの真っ黒い粒。ブラックペパーは熟れる前の赤い実を天日に干して作られます。たわわに実った真っ赤な実が枝の先に無数に垂れ下がる様は想像するだけで熱くパワフルです。南西インドの熱帯地方が原産といわれ大昔から各地で価値を置かれてきた薬用植物です。古代ローマではブラックペパーを租税として納めていた時代もあったほど貴重なスパイスでした。インドの修行僧は長い距離を歩く時持って行ったと言われます。ローマ兵も長時間の行進にはこの粒の入った小袋を身につけていたそうです。

Black Pepper Midori香り:さわやかで刺激的な香りは他のスパイスにはない清涼感と、力強い熱さを合わせ持っています。白コショウは皮を取った熟れた実を乾燥するのに対し、若い実を皮つきのまま日干しした黒コショウはボールドで男性的で深みのある香りです。

性質と効能:熱をもたらす性質は組織を温めます。また弛緩した部分に緊張を回復させる性質もあります。緩和な鎮痛作用はリウマチ性関節炎や筋肉疲労に良いでしょう。身体と神経、脳の強化、強壮作用は疲労した気力、体力、集中力を回復させ元気づけます。そしてもうひとつ、この精油の香りは周りに左右されることなく自分の内の正しい声に従って前進する力強さを生み出してくれます。

使い方:小さじ一杯の植物油に2滴混ぜ部分的なマッサージに使う。小さじ一杯の塩と植物油に2〜3滴を加え浴湯によく混ぜ入浴する。大さじ一杯の植物油などのベースにブラックペパーと他の精油を好みでブレンドしたものを5滴ほど加えボディオイルとして使う。ブラックペパーを中心にした好みの精油のブレンドを作りディフューザーで拡散させたり、香水テスター紙などに1〜2滴付けて香りを楽しむ。

注意:香りも作用も強い精油なので必ず希釈してご使用ください。


ヘリクリサム「永遠・不滅の花」    11/4/2017Scan

黄金色の花を咲かせる姿からギリシャ語のヘリオス(helios:太陽)、クリソス( chrysos:黄金)を組み合わせたヘリクリサムをいう名前が付けられました。また、花は乾燥させても黄金色のまま色や形が長持ちすることから別名「エバーラスティング」永遠の、フランス語で「イモーテル」不滅の、という素敵な名前もあります。イモーテル「Immotel」はフランスのコスメ会社L’OCCITANEの最も人気あるスキンケアラインでもあります。

 

効能:ほかの菊科の植物カモミル、ヤロー、マリーゴールド、アルニカ、ブルータンジーなどと同様、皮膚に対する特別な作用があります。抗炎症作用、抗血栓作用、抗菌作用、鎮痛作用、皮膚細胞再生促進作用、リンパ解毒作用があり、深い効果を秘めた植物です。neryl acetate, curcumene, di-ketonesのグループでitalidioneという特有の成分を含み、打ち身、青あざ、筋肉痛、関節炎、切り傷、傷痕、肌のトラブル、にきびなどの症状緩和に役立ちます。

使い方:5−10%くらいに植物油で薄め手のひらにとり香りを嗅いだり、患部に塗る。お風呂に入れる。他の精油とブレンドしてボディオイルやマッサージオイルとして使う。


白檀・サンダルウッド    10/7/2017
Sandalwoodインデイアンサマーも終わり本格的な秋の訪れです。冷んやりクリスプな空気は身も心も引き締まるようです。さて、2017年も後半を迎えました。夏の開放的な気分から一転して目の前の現実へとシフトする時期です。サンダルウッドの香りはその花言葉「平静」「沈着」にも表されるように、表層を流れる感情の下にある識閾下の 領域に届き、より高い精神性に導きながら現実の目的に向かって心を切り替える手助けをする特別な香りです。
香り:自己を主張しない静かで上品な香りは、際立った色彩よりも洗練されたモノトーンのグラデーションを思い起こします。植物より少しだけ人間に近いセクシーであたたかい木の香りは、褪せることなく長く持続する保留性の良い香りです。
効能:抗炎症作用、殺菌作用、利尿作用、気管支炎、スキンケア、内分泌機能の調整、不安神経症、精神統一
使い方:植物油で薄めて、香油として手首や身体に塗る、マッサージオイルとして部分的に使う、パヒュームテスター紙に一滴つけて香りを嗅ぐ。インド産が入手しにくい中、オーストラリア産はおすすめです。くれぐれも本物の良質の精油をご使用ください。

ベティバー     9/2/2017
Vetiver_jpegVETIVERという名のパフュームがあるほどベティバーは香水作りには欠かせない香りです。大変個性的なウッディー、スモーキー、ムスク様、パウダリーな香りは他の香りを揮発から保留し、香水のベースとして重宝されています。レモングラスなどと同じイネ科に属し、長くレース状に張りめぐらされた豊かな根から精油は蒸留されます。ハイチ、レユニオン島、ジャワ島、インドなどで栽培されています。
香り:木や土、水を思わせる落ち着いた重厚な、しかしどこか官能的な香り。
性質と効能:香水のベースにもなるようにそのリッチな根の香りは、表層の気分だけではなくより奥深いところまで届き、心や精神を落ち着けます。同時にパウダリーでどこかフローラルな香りは、一見男性的な香りの中に女性的な香りを醸し出しています。そのため男性、女性どちらにも魅力的な香りです。男性用のアフターシェイブローションやオーデコロンに、また女性ホルモンのバランスをはかり女性らしい気分にさせてくれるため神経過敏や緊張の緩和とリラックス、同時に気分を引き立てる性質もあります。
使用法:持続性のある香りなので、香水用のテスター紙につけ静かに香りを嗅ぐのもおすすめです。ボディオイルやマッサージオイルなどには他の精油に比べて少なめに(1ozに対して1〜2滴)ご使用ください。紙や布にしみこませクローゼットなどに入れておくと虫除けになります。
注意:香りが強いため使用量に注意。蒸留の仕方や産地により香りに差があります。